現在の日活は、どのような会社ですか?

端的に言うと「老舗の皮を被ったベンチャー企業」です。
創立は1912年で、100年以上続いている老舗の映画会社ですが、「ゼロからイチを生み出そう」というベンチャー・スピリッツを大切にしています。
当社の企業理念は「世界中の人々に面白い作品を届ける」です。
「映画の外へ、日本の外へ」を掲げ、様々な事業に挑戦していますが、全ては、この理念を実現させる
ための「手段」に過ぎません。


映画業界を巡る環境はこの10年で激変しています。
デジタル技術の進化により、「映画の作り方」と「映画の視聴方法」の二つが、つまり映画の「入口」と「出口」が大きく変化しているのです。
特に「映画の視聴方法」という「出口」においては、近年「Hulu」「Netflix」や「Amazonプライム」など、配信事業者が大躍進しています。
これらの配信事業者、つまり「デジタルプラットフォーム」の登場により、映画を視聴するメディアは大きく様変わりしているのです。

「映画館に足を運ぶお客様」と、「配信サービスで観るお客様」の変化に対応するべきと考えています。
もちろん、「映画館でヒットした映画」を、「配信サービス」に提供することは基本ですが、そもそも、「配信サービスに向くコンテンツ」の開発も急務です。
これは「黒船」ではなくて、逆にチャンスです。
つまり、私たちが作った作品を、世界中の人たちに、簡単に届けられるようになったのですから、「世界につながる大きなゲートウェイ」と言っていいでしょう。

こうしたチャンスがある中で、「世界中の人々に面白い作品を届ける」という理念を実現していくために、「映画の外へ、日本の外へ」と言い続けて、
新たなジャンルにチャレンジし続けているのです。

「世界中の人々に面白い作品を届ける」という「軸」は変わりませんが、その作品は、必ずしも映画オンリーである必要はなく、日本以外のお客様にも、
日本発の作品を届けたいと思っています。

「映画の外へ、日本の外へ」は、どのように具体化しているのですか?


「映画の外へ」というのは、「テレビ番組の製作」や「衛星メディア事業」「配信オリジナルドラマ」それに
「ゲーム事業」の展開など、まさに、映画以外の事業への進出を指します。

「日本の外へ」というのは、日本市場以外での事業展開を指します。
このうち、今は、東南アジアのタイやインドネシアで、タネをまき続けています。
まだまだ、大きな果実を得るには至っていませんが、これからも挑戦を続けていきます。

まず、タイでは、日本の情報を題材にしたクイズバラエティー番組を製作しました。
クイズで優勝すると日本に行けるという、タイの日本ブームに合わせた内容です。これをタイで最も視聴率が
とれるテレビ局の良い時間帯で放送しています。
日活と現地企業であるKantana Group Public Company LTD、当社株主である日本テレビ放送網株式会社の3社で設立した株式会社カンタナジャパンという子会社が、タイの地上波チャンネル「Channel3」と共同製作しました。
国から助成を頂いているプロジェクトです。映画会社でこのような事業を展開しているのは弊社だけです。

また、秋田県を舞台に制作したテレビドラマも、タイで放送しました。ドラマの舞台となった秋田県に、タイからの観光客が大勢訪れる効果を狙ったものです。
つまりインバウンド・ビジネス、要するに「外国人観光客による消費を促すビジネス」の一翼を、エンターテインメントを通じて担うというビジネスです。
かつて、中国の人が北海道に大挙して旅行に訪れたのも大ヒット映画の力でした。
私たちの収益だけではなく、異業種の方々にも貢献できると自負しています。

さらに、インドネシアでは、若いインドネシア⼈の監督や、アジアを代表するアクションスターを招へいして、映画を共同製作しています。
⽇本⼈以外の、新たな才能を発掘していこうというプロジェクトです。

私たちが製作する映画は、何も日本語で作る必要はないし、日本人だけで作る必要もありません。
海外との共同事業は、文化の違いなどから摩擦やトラブルが発生しがちですが、そもそも、予定通りに何事も無く終了する現場というのは存在しません。
海外に視野を広げれば、様々な才能が集まり、結果的に、私たちが収益を得る機会は拡大すると信じているので、今後も、海外での共同製作事業には、
積極的に取り組んでいきます。

こうした事業の一つ一つを成功させるために、現地に赴任している若い社員もいます。
現地で一人で何でもやらなければなりませんから、とても鍛えられますよ。

どのような人材を求めていますか?


「世界で通用するビジネスプロデューサー」として成長したい方を求めています。

クリエイティブを愛しているという「軸」があるのが大前提ですが、「映画が好きだ」という程度でも構いません。
クリエイティブの経験、つまり映画を作った経験などは特に問いません。
現時点で、金融業界志望だったり、メーカー志望だったりしても構いません。

その前提で「枠に収まらない人」、言い換えれば、「ベンチャー・スピリッツを持っていて、ゼロからイチを生み出す意欲がある人」に来て欲しいですね。
日活は枠に収まらない挑戦を続けて行こうとしていますから、既存の枠に小さく収まるような人でなく、
「日活で何をやりたいのか」、意志=背骨がはっきりしている人が望ましいです。

若手社員の教育方針は?


どんな会社でも「弊社は若手にチャンスを与える」と言いますが、
日活では、本当に若手にチャンスを与える土壌を徹底しています。

弊社では「出る杭は打つ」のではなく、出る杭は、どんどん、引っ張り上げます。

その一環として「プロデューサーの社内公募」を実施しました。
これは、「自分でプロデューサーをやりたい若手は、手を挙げて下さい」と立候補させるものです。
上司の顔色を伺う必要は全くありません。
どんな会社でも、組織に身を置いている限り、自分の意志が100%通ることは、まずありません。
そこで、特別ルートを一本走らせた、というのがこの「公募制」です。

仕事を進める上で周囲との軋轢や壁に直面したとしても、知恵と工夫で、乗り越えて欲しい、そう考えています。
仕事で凹むか、這い上がってくるかは、本人次第です。

いずれにしても、社内では、「チャレンジして失敗した人」と「何もしないで安全飛行している人」との評価が逆転する事は無いように言い続けています。

今後の展望は?


弊社では、ロマンポルノを28年ぶりに復活させるなど、日活カラーを前面に出した路線もスタートさせました。
これは、観て頂ければ一目瞭然ですが、海外では「アート」と評価されるレベルで、日活にしかできない、トンがった企画であると自負しています。

私が尊敬する故・大瀧詠一さんは、「音楽に良いも悪いもなかりけり聴く人々の耳に合わねば」という言葉を残されています。
私たちの企画も一緒です。お客様に喜んでいただけなければ、いくらトンがった企画でも意味がありません。

この「お客様が喜ぶ」という最大の目標を忘れずに、今後も、世界中の人々に面白い作品を届けていきたいと思います。
私たちと一緒に挑戦してくれる人材を心待ちにしています。